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やめたいのに、やめられない孤独の中で

投稿日:2026/01/12

昨年の11月29日に、

[対決]というブログを書かせて頂きました。



[対決]のように、

今もなお、私の心に深く刻まれている事例があります。



それは、

「盗癖」という言葉では片付けられない苦しさを抱えた方からの相談でした。



年齢は、私より少し下の方だったと記憶しています。



やめたいのに、

どうしても物を盗んでしまう。



特別欲しいものではないと、頭では分かっていても、

その行為を止めることができない。



警察に捕まった経験もある方でした。



「やめたくても、決意をしても、

どうしても盗むことをやめられない」



カウンセリングの中で、

彼女は涙をこぼしながら、何度も自分を責めていました。



一人で生活をし、

必死に働いて生計を立てている方です。



外から見れば、

きちんと生活しているように見えるかもしれません。



けれど、心の中には、

誰にも言えない苦しさや悲しみが、確かにありました。



カウンセリングを重ねていく中で、

あるとき私は、こんな提案をしました。



「次こそは盗まない」



私と彼女、二人だけの小さな約束でした。



次の予約日まで、

私は少し不安でした。



本当に大丈夫だろうか。

また、彼女は苦しむことになるのではないか、と。



そして当日。



診察を終え、カウンセリングまでの待合室で

椅子に座る彼女の姿を見て、胸が締め付けられました。



俯きながら、

静かに涙を流していたのです。



私は、そっと声をかけました。



「大丈夫…?

もしかして、約束守れなかった?」



彼女は小さく頷き、

「ごめんなさい……ごめんなさい……」

そう繰り返しながら、泣き続けました。



私たちの間には、

これまで積み重ねてきた信頼関係がありました。



私は、

約束を破ったという事実だけに、心を奪われることはありませんでした。



ただ、

そのときの泣き顔。



それは、
助けを求める声を必死に押し殺しながら、
「自分が悪い」と言い聞かせ続けてきた人の、
限界の涙でした。



それだけが、

強く胸に残っています。



盗むことを、本気でやめたい。

でも、やめられない。



そのことで、

誰よりも苦しんでいるのは、彼女自身でした。



カウンセリングは、

人を裁く場所ではありません。



正しさや、道徳心を問い詰める場所でもありません。



彼女の中にあったのは、



「寂しさ」

「悲しみ」

そして、誰にも受け止めてもらえなかった気持ちでした。



その寂しさは、

愛されたい、理解されたいという思い。



悲しみは、

過去の孤独や不安、

そして自分を責め続けてきた気持ちから生まれたものでした。



それが、

「盗む」という行為として、表に現れていたのです。



結果だけを見れば、犯罪です。

決して許される行為ではありません。



それでも私は、

一人ひとりの本当の心の叫びに耳を傾け、

受け止めること。



それが、

カウンセラーの大切な役割だと思っています。



誰かに同情してほしいわけではありません。



ただ、たった一人でも、



「理解してくれる人がいる」

「受け止めてくれる人がいる」



そう感じられるだけで、

人は、もう一度立ち上がる力を持てると信じています。



あの時の、

彼女の泣き顔は、今でもふとした瞬間に浮かびます。



それは、

私がこの仕事を続けていく理由の一つです。



私はこれからも、

心の奥にある声に耳を澄まし、

否定せず、そっと受け止めていきたい。



そして、

「一人じゃない」と感じられる場所で

あり続けたいと思います。


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